アシックスは、人気のランニングシューズをベースにし、走り方を感知するセンサーを内蔵したスマートシューズ「EVORIDE ORPHE（エボライド オルフェ）」を、2020年12月18日（金）に販売開始しました。

そして2022年4月26日に多くの研究者・開発者、臨床家にとって日々の疑問を解決するためのニュースが発表されたので、今回はそのことを記事にします😇

スマートシューズ「EVORIDE ORPHE」とは

大きな特徴として、ランナーそれぞれに合ったよりよい走りを教えてくれ、履いて走るだけでランナー個人の足運びの一挙一動やメカニズムを解析してくれる機能が挙げられます。

そんなスマートシューズの名前となっている「EVORIDE」はアシックスの人気シューズシリーズのひとつですが、「ORPHE」とは何でしょうか？

「ORPHE」とはセンサやコンピュータを内蔵した履物「スマートフットウェア」を中心としたウェアラブル機器と、そこから得られるデータを活用するセンシング＆クリエイティブプラットフォーム提供する商品名であり、企業名でもあるようです。

そしてORPHEから2022年4期26日に素晴らしいニュースが発表されました。

ORPHEからの発表とそれまでの背景

ORPHE、モーションセンサを用いた

床反力推定の特許を取得

 

大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室との共同研究により、これまで専用の実験環境が必要だった「1歩ごとの床反力特徴量推定」を小型のセンサーデバイスで計測可能となる本技術に関する特許を取得されたとのことです！

特許取得に至る背景と課題は以下の通りであり、多くの研究者や臨床家における永年の課題であったと思います。

背景・課題

床反力（歩行・走行時に人が床・地面から受ける力）には、衝撃の大きさや蹴り出しの強さなど運動能力を評価するさまざまな情報が含まれます。これらの情報は、日常生活における傷害リスクやスポーツ動作におけるパフォーマンスの評価など、幅広い分野で活用されています。このように床反力の有用性が示されている一方で、床反力の計測には高額な専用機器（フォースプレート）を設置した実験室環境が必要になるため、計測の汎用性が乏しいことが課題としてあげられます。

ORPHE、モーションセンサを用いた床反力推定の特許を取得より引用

大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室の中田研教授は以下のように本研究成果で期待できることを述べられております。

本共同研究の成果は、従来は主に研究室で評価されてきた歩行・走行時の力の評価を誰もが日常生活内で行うことを可能にします。この技術により、患者のリハビリ、健康人の日常活動評価、ランナーをはじめ多くのスポーツ選手のパフォーマンス評価をより身近なものにし、新たな医療や健康分野でのDX（デジタルトランスフォーメーション）の促進につながると期待しています

いやー、本当にありがたいですね🤓

これで日頃の臨床疑問を解決するモチベーションがまたひとつ上がりました！

今後

京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 青山研究室では、登山やトレイルランニングの研究を希望する大学院生を募集しており、ORPHEさんが開発したシューズ装着型センサーを用いてトレイルにおける歩行、走行パラメーターを計測するようです。

多くの研究者・開発者の想いを背負って床反力推定特許取得に至ったORPHEの小型モーションセンサーは、での研究に利用可能なツールですね。

その根拠となる特許内容は特許情報プラットフォームに特許番号を入力すると誰でも見れます。

私も確認しましたが、特許申請から採用に至るまでの経過とその根拠がわかり、開発者の苦労と想いがうかがい知れます。

研究成果に必要なデータ取得・解析をするために一般に販売されているシューズ＋センサーのセット商品だけでは不可能であり、解析ツールが必要です。

そして解析ツールとして、品名ORPHE ANALYTICSが用意され、まずは体験版から利用できるようです。

もちろん歩行解析にも利用できるので、病院や施設、在宅等で働く医療従事者等の臨床家にも大いに役立つと思われます🤓

ORPHEを用いた個人的研究構想

そんな私は以前にORPHEと同じ3軸加速度センサ・3軸角速度センサを用いて装具装用下歩行時の体幹動揺を解析し、学会で研究発表したことがあります。

5年以上前になりますがMicroStone社製の体幹2点歩行動揺計「THE WALKING」でした。

なのでデータ抽出・解析のアレルギー拒否反応は少なく、取り組みやすいかなーと思います(笑)。

構想と書きましたが研究デザインはざっくりとしか考えていません。過去の先行報告をみていませんので😆

まずは身近であるランニングクラブ練習会のメンバーを対象にデザインしていきたいと思います。

その後にORPHE ANALYTICS体験版を申し込みしようと思います。