介護サービスの生産性向上に関するガイドラインでは、「一人でも多くの利用者に質の高いケアを届ける」という介護現場の価値を重視し、介護サービスの生産性向上を「介護の価値を高めること」と定義しています。
これは、人材育成、チームケアの質の向上、情報共有の効率化を通じて達成されます。生産性向上には、量的な効率化と質の向上の2つの側面があり、職員間の負担の偏りを是正しつつ、チームケアを通じてサービスを提供することが重要とされています。
このガイドラインは、介護事業の経営者、管理者、現場責任者、および現場で働く方々が、業務改善を通じて従事者一人当たりの労働時間増大を伴わずに生産性を向上させるために役立つ指針として作成されました。
現場の従事者が前向きな気持ちで取り組むことが重要であり、業務改善の成果を通じて「業務改善の成果が上がると楽しい」と実感できるプロジェクト設計が期待されています。ICTの活用は、介護現場の生産性向上において特に重要視されています。
従来の紙媒体での情報やり取りを見直し、ICTをインフラとして導入することで、行政文書作成時間の効率化、介護サービスの提供への集中、ビッグデータ蓄積によるエビデンスに基づく介護サービス提供の促進が可能になります。
また、ICTは介護業界のイメージ刷新や多様な人材の参入促進にも繋がります。生産性向上に向けた改善活動の標準的なステップは、以下のPDCAサイクルに沿って進められます。
1. 準備 (Plan)
改善活動に取り組むプロジェクトチームを立ち上げ、リーダーを決定します。リーダーには職場の厚い信頼と強いリーダーシップが求められます。
経営層から事業所全体へ取り組み開始を明確に宣言し、プロジェクトチームの役割を伝えます。
「e-ラーニングツール①」を通じて、生産性向上の背景を理解し、取り組み意欲を高めます。
2. 見える化 (Do)
「課題把握シート」を使って、事業所内の顕在的・潜在的な課題を洗い出します。管理者用と職員用の調査票があり、回答結果をグラフで分析できます。
「業務時間見える化ツール」で、職員がどのような業務に、どの程度の時間をかけているかを定量的に把握し、**ムリ・ムダ・ムラ(3M)**を明らかにします。業務ごとに適切な手順と時間を事前に定めておくことが重要です。
3. 実行計画 (Plan)
プロジェクトチームで課題を絞り込み、課題分析シートを用いて優先的に取り組むべき課題を決定します。
課題解決に必要な取り組み内容と職員の役割を決定し、「改善方針シート」に記入します。
3か月程度の期間を目安に、具体的な計画を「進捗管理シート」に立てます。
4. 改善活動 (Do)
まずは小さな成功事例を作り出すことを目指し、試行錯誤を繰り返しながら取り組みます。
現場職員とマネジメント層の間で、課題、目標、期間、予算などについて入念な打ち合わせを行い、認識のずれを防ぐことが重要です。
5. 振り返り (Check)
プロジェクトリーダーを中心に定期的に進捗を振り返り、目標達成の見込みを確認します。
うまくいった点、いかなかった点を定量的・定性的に分析し、必要に応じて軌道修正を行います。
取り組み成果を確認するため、業務時間の見える化を再度実施することも有効です。
改善活動の障壁や成果、職員のモチベーションなどの副次的効果も記録に残すことが、今後の継続的な活動のノウハウとなります。
6. 実行計画の練り直し (Action)
振り返りの結果を分析し、優先度が低いと位置付けた課題を含め、改めて改善活動を検討します。
改善活動に終わりはなく、1年を目安にPDCAサイクルを回し続け、継続的に課題を発見し改善する仕組みを組織内に作り上げることが大切です。
このガイドラインでは、介護サービスにおける生産性向上のための7つの取り組みが分類され、それぞれに具体的な事例が紹介されています。
1.職場環境の整備: 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の視点を取り入れ、安全で働きやすい職場を整備します。
2.業務の明確化と役割分担: ムリ・ムダ・ムラ(3M)を削減し、マスターライン(業務時間の区切りやタイムリミット)を再構築します。
3.手順書の作成: 理念やビジョンに基づいて職員の経験値や知識を可視化・標準化し、若手を含む職員全体の熟練度を養成する道筋を作ります。
4.記録・報告様式の工夫: 項目の見直しやレイアウトの工夫により、情報を読み解きやすくし、不要な文書や項目を整理します。
5.情報共有の工夫: ICTなどを活用し、転記作業の削減、一斉同時配信による報告・申し送りの効率化、情報共有のタイムラグ解消を図ります。
6.OJTの仕組みづくり: 日常業務を通じた人材育成の仕組みを作り、職員の専門性を高め、リーダーを育成するため、教育内容の統一と指導方法の標準化を図ります。
7.理念・行動指針の徹底: 組織の理念や行動指針に基づいて、自律的な行動がとれる職員を育成します。
これらの取り組みは、自治体、関係団体、介護施設・事業所などが一体となって進めることが重要であり、それにより介護の質を維持・向上させつつ、急増・多様化する介護ニーズに的確に対応することが可能になります。
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